過去ログ8:知的クラスその5〜6
知的障害者クラスその5と6。2005年2月掲載。
『知的障害クラスその5』 2005/02/13 記
知的障害のクラスは、これまで書いた他施設の知的障害者で結成されたグループだけでなく、他にもう一つあります。知的障害のある20代の女性(しかし大変幼く見えます)とその保護者(母親)のクラスです。
こちらは一年ほど前から隔週で開かれています。
そのお母様も、若干知的障害が見られます。一応、会話はきちんと成り立ちますし、電話のやり取りやクラスの時間割りの相談にも対応できてますので、一般の方とさして変わりは無いのですが、やはり少し違和感は感じます。
しかし、娘さんの教育には熱心で、一生懸命パソコン教室に通わせようと言う意思が見えますし、娘さんの将来について心を砕かれていることが判ります。それは、どこにでもいる普通の母親と変わりません。最初は、5回の予定だったのがそのお母さんの依頼で現在15回まで延長することが決まりました。
お母さんは、自分の娘のことをおもんばかり、知的障害があるからこそ、少しでも就職に有利になるようにとパソコンの習得を考えていらっしゃるようです。今やパソコンが出来たからといって即就職に結びつくということは難しいのですが、まして知的障害があるとなるとパソコン以前の問題が大きいのでその考えは早計なような気がしますが、それでも『母親』としての気持ちは大変良く理解できますし、その熱心さには感心してしまいます。
ただし、知的レベルが低くても、そのお母さんに比べると娘さんの方がパソコンの覚えは早いのでした。これはやはり若さの違いかなあとも思いました。一般に年齢が若い程記憶力や理解力も良いので。
やはり知能が低くても、上達度は年齢に左右されるということでしょうか。(まあ全ての方に当てはまることではないと思いますが)お母さんの方がおしゃべりで、色々娘のことを話したりやパソコンのことを聞いてくるのですが、いざパソコン操作となるとあまり習得できず、黙っている娘さんの方がじっと聞いていてパソコンの操作は確実に行い、理解も早いのです。これには正直笑ってしまいました(^-^)
さてそのお嬢さん、K子さんは、最初会った時、10代の少女かと思いました。 それくらい幼く、子供っぽい感じに見えました。最初は緊張していたようですが、すぐに打ち解けてくれて、こちらの話すことをきちんと聞いて受け入れてくれました。
なるべく優しく、禁止の言葉を使わず、本人の興味のあることを引き出しパソコンに馴染ませるように持っていきました。それで最初の5回は何とか無事に過ぎました。
最初のクールは、ほとんど彼女の好きなディズニーランドのサイトを見ることに終始しましたが、それを見ている時の彼女の嬉しそうな顔を見ていると、それだけで価値はあるのでは、という気もしてきました。
しかし、母親の望むパソコン教育という観点でいえば全然到達していないので、その後文字入力の講習に移っていきます。が、2回目のクールに入った時、最初の頃と日程が変わって曜日が違ってしまったのですが、その初日に事件が起きてしまいました。
その日、何故だか知りませんが(理由をいわない)彼女は少し遅れて教室へ来ました。たぶん、日にちを間違えたのかも知れません。
先に来ていたお母さんは心配して施設の入り口まで迎えに行ったり通っている別の施設に電話をしたり、うろうろしていました。そうしている内に彼女が現れて、ちょうど迎えに出た母親と一緒に教室へ入って来たのですが、とても機嫌が悪いのです。(後で思ったのですが、たぶん、迎えに出た母親に叱責されたのだと思います)
そして教室に入る手前で急にきびすを返し、泣きそうになり帰ろうとします。
びっくりして私が慌ててなだめて教室に入らせたのですが、その様子を見て、その日からアシスタントに付いて下った方がとても驚いていました。 始めて知的障害者のクラスに参加して、目の当たりにもめ事を見て、これは大変だと思ったそうです。席に着かせることからしないといけないのか、と思ったらとても難しいと感じたと。
その前の回までは何ともなかったので、その日たまたま機嫌を損ねることがあったのでそうなったのだと、説明したのですがやはり結構ショックだったようです。確かに、知的障害者のクラスはその他のクラスに比べて気を使わなければならないことが多いでしょう。 余計な、といったら語弊があるかも知れませんが、神経を使います。私も、良くその担当が出来る、というようなニュアンスで言われましたが、確かに難しいのですが、彼等の自分が望んだことを達成出来た時の笑顔がとても印象的で忘れられないのです。
皆さん笑顔がとても可愛い。
本当に素直で純粋な方達なのです。
その彼女も、それ以来むずがったり機嫌を損ねることもなく大人しく真面目に、授業を受けています。そして熱心に教室に通って来ます。段々に、自分自身でネット検索が出来るようになり(それも毎回同じことの繰り返しの授業なのでとても時間はかかるのですが)、少しずつ進歩していっているのを見るとあの時匙を投げないで良かったと思います。
明日、その親子のクラスがあります。
取りあえず基本的な文字入力の練習とネット閲覧の毎度のパターンになりますが、知的障害者でも集中力のある方なので、頑張ってやってくれるでしょう。
『知的障害クラスその6』 2005/02/16 記
今日(14日)、K子さん親子の知的クラスがありました。 お母さんの方が遅れていらしたので、それまでの間K子さんに好きなネットを見ているように勧め、ブラウザソフトの立ち上げ方から指導します。 最初の頃は私の方でブラウザを立ち上げ、彼女の見たいというサイトを開いて、見るだけの状況にして臨ませていたのですが、少しずつ自分自身でそういう操作をするのだということを説明して導いていました。
自宅でパソコンを購入した場合は、先生はいないのだから自分で見たいページを開くようにしなくちゃダメだよ、というとちゃんと理解してくれたようなので、今日も最初からその方向で持って行き、本人にやってもらいました。ブラウザを開き、検索するための入力スペースに検索文字の入力をし、目的のサイトを開き、ブラウズする。
健常者であれば10分くらいの講習で出来ることが彼女の場合は、そこまで到達するのに半年以上かかっています。それでも、自力で出来るようになるということは彼女に自信を持たせることに繋がってきます。
さて保護者が入室してきて、一緒の講習に入る前に私の方から改めて今後の方向性(といっても3月までのあと4回しか講習日はないのですが)を確認しました。 -----
K子さんにどういう風にパソコンを学んで欲しいのか。又本人はどう望んでいるのか。そうすると、やはりこれまで最初にお会いした日からずっと繰り返し同じことをいっていたことをお母様は訴えます。
職安で障害者に対する求人情報を見ても、もう最近は全部ワープロやパソコンの出来る人しか採用してくれない。これが障害者に対する条件なのか、信じられない。昔は単純作業の募集もあったのに、今は全然ない。そのためにはこの子にパソコンを習得させなければならないだろう。などなど。
しかし本人はどう考えているのか、実際就職する気はあるのか、と問うとK子さん本人は全く応えないのだけど、お母様はそうだと答えます。‥以前から感じていたのですが、K子さんは大人しく内気な性格で、ほとんどお喋りはしません。 その代わりお母さんが一方的にしゃべる感じです。
それなので、本人の意思を無視してパソコンを習わせているのでは?という危惧がありました。しかし、お母様は大丈夫、本人も判っているだろうとおっしゃいます
御本人を見ると、黙っていますが否定する様子はありません。
ということは、自分自信も異存はないのだという風に受け取られました。それで、今後、3月までにクラスの締めとしてどう講習を進めるか、を三者で話合いました。パソコンを使えるからといって即就職に結びつく訳ではない。しかし、使えるにこしたことはない。
その場合、仕事によって何を学ぶか変わってくるが、例えばグラフィック系の仕事に就くなら絵やデザインの勉強もある。という話しを私の方からして、「絵を描けるか?」の問いかけには本人は一生懸命首を横に振ったので、あ、そっち方面はダメなんだなと判り、では結局無難なところでやはりワープロソフトの習得になるだろう、と落ちつきました。
これまで文字入力の練習をする時、私が「ネット検索をする時に、自分の探したいサイトの言葉を打ち込む時に字が書けると便利だよ」、と話すと納得して文字入力の練習をしていましたが、実際に仕事として使う文字入力はそういう訳にはいきません。その練習も決して楽しくないし、果たして彼女が理解できるかどうか、心配な部分はまだ残りますが一応、ワープロソフトは去年の暮れに年賀状の作成でWORDを使用しています。
が、それがワープロ作成ソフトだということを彼女は全く認識していません。ただ文字とイラストを組み合わせて年賀状を作った、というだけの認識です。
仕事となるとそういう訳にはいきません。
ある程度ソフトの特性なども学んでおかないとトラブルがあった時困るし、何より効率が悪くなります。しかし、それをどこまで理解してもらえるか、はなはだ疑問なのです。
取りあえず、話し合いが終了して何はともあれ文字入力の練習をしようと始めます。
文字入力が完璧に出来なくてはならないので、そのためのタッチタイピングの練習に入ろうとして、そこまでで既に約半分の1時間が過ぎています。
そのお母様の話しは、いつも何度も同じことの繰り返しで、先に書いた就職に対する愚痴に終始してしまうのですが、こちらも辛抱強く聞くしか無いのですが、要点がぼけてしまわないように持っていくのは少し大変です(苦笑)しかし、今回改めて聞けたことは、やはり娘の将来のことを本当に心配しているということでした。
自分達(両親)が死んだ後、娘がちゃんと自立して生きていけるように仕事を身に着けさせたい、一人暮らしも出来るようにやらせたい、とはっきりと話して下さいました。たぶんそういう風に考えていらしゃるだろうな、と憶測していたのですがはっきりお母様の口から聞くことが出来て、やはりそうなのだと思いました。
普通、健常者はあまりそういうことを考えて日々を過ごしていないと思うのですが、人生いつ何があるのか判らないので、自分の子供をいつまでも親が面倒みられるという保障はないのです。残された子供が身障者であった場合、健常者よりも生きて行くのがずっと大変なことを判っているからこそより自立させなければ、という考えが強いのでしょう。
そういうお考えにはとても感心しますし、同感するので私も出来る限りお手伝いできれば、と思うのです。前の席でずっとそのやりとりをインターネットをしながらじっと聞いていた娘の方も反論しないので、良く言い聞かせられて理解しているのでしょう。
私がじゃあ頑張って練習しましょう、と促すとすぐにタイピングの練習に移りました。 そして自ら「クマのプ−さん」のタイピングソフトをやり始めました。 彼女の場合、集中力があるので、残りの1時間、ずっと同じソフトの練習をしていても飽きないで練習してます。
それは大したものだと思います。それは以前にもやったソフトなのですが、しかし2週置きの教室で、覚えても忘れ、又同じことの繰り返し、という感じなので本当に亀の歩み、という感じではあるのですが、最初の頃より要領よく進めています。
しかし、一通りタイピングの練習が終わって、実際に五十音をローマ字入力させるとやはりアンチョコを見ないと入力できません。 今ソフトを使って練習してたのに、と思うのですが(^-^; やはりここでもローマ字がネックになります。
知的障害者のクラスは、パソコンの講習以前にローマ字の勉強から始めないといけないので時間が倍かかります。
ただでさえ時間のかかるクラスで、尚かつローマ字の勉強までやっていては大変なのですが、しかしやらない訳にはいきません。
アンチョコを見ないでローマ字がすらすらと出てくるようにならなければスムーズな入力は出来ない訳で、そのために自宅で勉強するようにアンチョコ(ローマ字入力表)を最初に全員に渡してあるのですが、あまり誰も勉強してきている様子はありません(苦笑)終了してから、学校でローマ字の勉強はしていないのか訪ねたら、お母様の方はやってるんじゃないかといいますが、娘の方は首を横に振ります。
他の知的障害者もそうですが、若い子に限ってローマ字を教わってきていません。
普通の小学校では高学年でローマ字の勉強をします。彼等を見ていると、それくらいの知能は所有しているように見受けられます。(人によりますが) 教えれば判るんじゃないかなあ、という気がします。
実際、そのパソコン教室に来ている知的障害者全員、教室でローマ字を教えればきちんと理解します。障害者教育がどうなっているのか判りませんが、何故ローマ字を小学校とまではいかなくても高校終了くらいまでに指導しないだろう?と単純に不思議に思いました。
何とかその日も終了しました。
さてあと3回で文字入力が完全に出来るようになるか不安なのですが、とにかくお母様の方は自分は出来なくても良いから何とか娘にはパソコンを頑張ってもらう、といって、パソコンを買う意欲もありありです。自分ももっと働いて稼ぐから頑張れ、と娘を励ましています。娘さんの方も何も言わないのですがうなずいています。
その光景を見ていると、実際就職することやそのためにパソコンだけ出来れば良いというものでもない、ということなど本当は色々難しいことがあるのをどういう風に伝えたものか、悩んでしまいます。
パソコンを所有しても、その後のトラブルなどを考えると不安がありますが、その辺はその地域のパソコンボランティアさんに任せるとして、やはり自宅にあるのと無いのでは全く習得度が違うので、私も経済的に許すのなら買った方が良い、と奨めています。ただ、そのお母様がパソコンショップに行って購入するにはちょっと不安ですが、、、店員さんが大いに悩みそうな(笑)
逆に変な高いマシンを騙されて買わされそうな。これもパソコンボランティアの方に付いていってもらう方が良いかも。
帰り道、K子さんと講師二人の三人で駅まで歩きながら帰りました。
道すがら、私やアシスタントの講師が彼女にパソコン楽しい?今日楽しかった?と聞くと嬉しそうにうなずきます。その笑顔を見ているとそれだけでこちらは救われますがが、それだけでは済まされない現実は大きいのです。
はてさてどうなることやら。
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コメント
はじめまして。0811と申します。ブログを心して読ませてもらいました。ボランティアをしている知人も、パソコンのインストラクターをしている知人も居るので、興味深く考えつつ読みました。
このようなブログは、無くてはならないものだと思います。読んで下さってありがとうございました。
投稿 0811 | 2007年6月 9日 (土) 14:30
0811さん初めまして。
こんな地味なブログを読んで下さってありがとうございます。
実は以前のブログサイトでもあまりコメントなどつかず、2年くらいほっておいたのでいっそ閉じてしまおうかとも考えたのですが、やはり継続すべきだろうと思い、気持ちを新たにするために移行してきました。
仕事はまだ継続していまして、また思う事もありますので、これからもちょくちょく更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
同じインスト仲間からのご意見も欲しいですね。
投稿 hal-3 | 2007年6月 9日 (土) 17:04