過去ログその3:視覚障害クラス6〜8
視覚障害者クラスその6〜8。2005年2月掲載分。
『その6』 2005/01/31 記
これまで、何度か言葉だけで説明するので大変だ、ということを書いてきましたが、重要なポイントはやはり印字して読んでいただかなくてはなりません。 そのために、授業内容の簡単なテキストを作成し、点字の読める方用のものと、点字は読めないが、大きな文字なら判読出来るという方のために大きな文字でプリントアウトしたもの(墨字といいます)を用意しました。
これを視覚障害クラスの生徒さんに配りました。
今は、パソコンで普通のテキストファイルを点字に変換するパソコンソフトがあるのですね。 簡単に作成できるのでびっくりしました。
私は点字が読めないので自分でも点字を習わないとダメかなあ、と考えていたのですが、このソフトを使えば、私でも点字ファイルが作成できます。 (もちろん読むことは出来ません。とほほ)
点字ファイルを作成しただけではどうしようもないので、それを紙に打ち出す(印字する)必要があります。その点字用のプリンターも販売されているのですが、まだ値段が相当高いので個人で所持することは難しいところです。
それで、点字図書館などの施設を利用します。点字図書館や、他の視覚障害関連施設、また、ボランティアグループでもかなり組織が大きいところでは設置してあって、貸し出してくれます。
パソコンでテキストファイルを作成し、「おてんちゃん」という点字変換ソフトを使用し、目白の点字図書館で印字してもらい、点字の読める生徒さんにお配りしました。
しかし、点字も読めない、墨字も読めないという視覚障害の方がたまにいらっしゃいます。 そういう方のことも考えて、生徒さん全員に「ウチコミくん」のソフトの中身と、授業のポイントのテキスト(印字したものと同じ内容)をボランティアさんに読み上げてもらってカセットテープに吹き込んだものをお渡ししました。
それを自宅で聞いてもらい、復習して来てもらうようにしました。
私が調べたところ、他の視覚障害者対象のパソコンスクールを開催しているところでも、カセットテープでの講議はあっても点字になっているテキストを配っているところはなさそうです。
そういう、一般のパソコン教習本のように点字で作成されている本があっても良いのになあ、と思いましたが、たぶん、視覚障害のある方は、カセットテープで吹き込まれた情報を受取ることになれているので、肉声で読み上げてくれることの方が良いのかも知れません。
さてインターネットの授業に入り、サイトをブラウズするいわゆる「インターネット」と呼ばれるものと、メールのやり取りとを考えた時、やはり視覚障害者にとって必要性が高いのはメールの方だろうと思い、メールの講議を重点的に行うことにしました。
メールソフトは、視覚障害者専用のメーラーが幾つか出ています。
このパソコン教室では「ホームページリーダー」というブラウザソフトと同梱されている「ホームページメーラー」というソフトを使い説明しました。 他の専用メールソフトは知らないのですが、このソフトは私が見たところ、シンプルで余計な機能などもついておらず、晴眼者にも使い易いのではないかという印象を持ちました。(ただし、やはりこのソフトも使い易くカスタマイズしたり、設定をいじる場合は最初に晴眼者の助けが要るような感じです)
いよいよ具体的に何かのソフトを使うようになってきて、機能の説明をするのに又言葉だけで説明しなくてはならないので、難しい問題が出て来ます。
簡単なソフトでも結構沢山のメニュー項目があります。メニューの説明をする場合、そのメニューというのは一体どういうものなのか、という説明からしなければなりません。
最初にメニューバーをフォーカスさせるには、ALTキーを一度押します。 そうすると一番左端のファイルメニューがフォーカスされます。 そこから→キーで右に順に移動していって編集メニューだとか、書式メニューだとかの場所まで移動して項目を選びます。
サブメニューがあればそれも読み上げてくれるので、更にカーソルキーで移動していきます。
操作したいメニューが決まればそこでエンターキーを押します。
見えていれば一発で移動できることが、見えない方はものすごい複雑な手順を踏まなければなりません。
メニュー項目なども全て読み上げてくれるのですが、何せ機械ですので、音声が聞き取りずらかったり間違った読み方をしてくれたりで中々簡単にはいきません。そういう時などでも便利なのが、ショートカットキーです。
晴眼者より格段にショートカットキーを覚える必要があるかも知れません。しかし、覚えてしまえば、大体のソフトは同じショートカットで同じ機能を使うので(Macは完全にそうですがWinでは違う場合もあるようです)、楽になります。
ちなみに、Macのソフトではどのソフトも終了させる場合はコマンドキーとアルファベットの Q です。 Winでは、これが通用するソフトとしないソフトがあります。(どっちかにまとめろって?)
まあ、XPではALTキープラスF4で全てのソフト、及びOSを終了させてくれるのでこちらを覚えておくと良いでしょう。
パソコンの電源を落とす場合も、ALT+F4で最後はアルファベットの U 一個を押せばOSが終了しますので、わざわざスタートメニューから終了メニュー、電源を切る、とクリックしていかなくてもこの方が覚えてしまえば楽かも知れません。
ただ、色々なソフトのメニュー項目全てを暗記するのは、いくら勘の鋭い暗記力のある視覚障害者の方でも相当難しいでしょう。これは、必要なソフトの必要なメニューから重点的に覚えていくようにするしかないかも知れません。
時間をかけてゆっくりと。
『その7』 2005/02/02 記
視覚障害のある方のための、メールソフトの扱い方の講習が始まりました。
視覚障害者用のメーラーは幾つか出ているようですが、それぞれ使い勝手があるでしょう。 基本的にはどのメーラーも(晴眼者用のも)同じ仕組みになってます。
メールを作成して送信して、送られて来たメールを受信して読む。必要があれば送られて来たメールに返信する。それだけです。
それに、各メーカーで少し工夫を加えて区別しています。そのソフトによって、若干機能の説明や操作ボタンの名前が違ったりましす。
例えばあるソフトは送信ボタン、となっているのが他のソフトでは呼び方が違う、という風に。しかし、基本的な仕組みが判って、機能が理解できれば名称が少し違っても応用が効くようになっていきます。
その教室で使用した、「ホームページメーラー」というメールソフトは、大変シンプルで使い易いソフトだと思いましたが、最初に立ち上げた時、初期設定でウインドウが3分割されていました。晴眼者は一目見て3つに別れているな、ということが判るのですが、視覚障害者はそういうことは判りません。
もちろん、TABキーでウインドウ間を移動できるのですが、それ(どのウインドウにポイントがあるか)を把握するのはとても大変です。ですので、最初の時点ですぐ設定をカスタマイズして一つのウインドウだけを開くようにしました。
つまり、 メニュー項目だけが一つのウインドウに収まり、そこからひとつひとつの機能をボタンをクリックすることで横のウインドウに呼び込ませる(リンク)風にしたのですが。 他の視覚障害者用メーラーがどういう仕組みになっているのかは判りませんが、メールソフトにしろ、ブラウザにしろ、一つのウインドウを分割したり、新しいウインドウを出させて何かさせる、つまりウインドウ間を移動させるという作り方は視覚障害を持つ方にはすごく不親切だと思いました。
晴眼者の使う他のソフトなどでも、幾つかウインドウが開いている場合タスクバーで切り替えをしますが、もちろんそれもショートカットキーで出来るのですが、どのウインドウがアクティブなっているか隠れているか、などと把握するのは目が見えないと非情に難しいと思います。
さて話を戻して、視覚障害のある方たちはEメールの仕組みはすぐに飲み込んで受け入れて下さったようでした。 視覚障害者の方は、大体においてお話好きな方が多いようです、(もちろん個人差はありますが)
言葉でのコミュニケーションが重要なので、お話をすることが好きで、皆さん良くおしゃべりします。
ですので、電話と同じでメールを使って会話するということはとても馴染みやすいようですした。なおかつ、Eメールは電話と違い、相手の都合などを気にすることなく気軽に送ることが出来る、という利点を説明し、是非今後やられると良いという風に勧めました。 今は携帯電話やメールの方が流行ってますが、色々な機能を考えた場合、やはりパソコンにはそれなりの存在理由があります)
何度も講師や隣の席の方のパソコン間でメールのやり取りをする練習をしました。 それは、文字入力の練習にもなり、一石二鳥でした。好きな方は、本当に何度も手紙を書いて送る、という風に繰り返します。
送信先のメールアドレスを入力することに最初は苦労していたようですが、これもじっくりと時間をかけ、何度も練習します。ここまで来ると、結構皆さん授業を楽しみにして来て下さるようになってきます。が、開設当初3クラス12名程いた生徒さんが、この時点で入れ代わり等もあり、最終的に2クラス7名程度に縮小されます。
やはり難しいということや、繰り返し何度も練習したり、何度も同じ講議を聞くことなどについていけないという方もいらしたのでしょう。又、授業そのものは楽しいけど、結局自宅でパソコンを購入する経済的余裕がないので、講議が聞いても活かせない、無駄だからと断念した方もいらっしゃいました。
『その8』 DATE: 2005/02/03 記
さて視覚クラスは、インターネットの授業で、一般に「インターネット」と呼ばれるwebサイトの閲覧に入ります。 最近のwebサイト(ホームページ)はどこも画像や写真などを駆使してカラフルに作られています。 それはそれで構わないのですが、目の見えない方に取っては何の意味もありません。
元々のインターネットの情報の共有という意味からすると、これらの作り方はあまり適切ではないと思うのですが、見た目に華やかにした方が(目の見える方には)訴える力があるので、いた仕方ないことでしょう。
画像や、写真を使うこと自体は全然構わないと思うのですが、その時には必ずaltタグという、HTMLのタグ(webサイトを構成する言語のこと)を記述しなくてはなりません。
altタグというのは、画像データがどういうものかを説明をした文章です。(視覚的には、吹き出しになって現れるあれです)altタグがあると、画像や写真などのコンテンツの説明を読み上げてくれます。
altタグの記述がないと、単なる画像データの存在を知らせてくれるだけなので、全く何のサイトなのか、何を現したいのかさっぱり判らないサイトも出て来ます。それではせっかく作ったサイトも意味がありません。
例え目で見えなくても、altタグによりその画像の意味がわかれば、そのページのコンテンツやサイトの表現したいことなどもある程度理解できます。ですので、サイト運営者は必ずaltタグを記述するように努めて下さい。いきなりトップページに一枚ものの画像やshockwaveのコンテンツなどをバン!とデザインに使っていて、altタグの記述が一切ないページは最悪です。
特に企業などでは、確かに派手な画像データを使う方が目立つでしょうし、もし視覚障害のある方を対象にはしないから、というような考えでそういう対処をしないとしたなら論外です。
まあそういうサイトは二度と訪れない、というだけなのですが、それが印象に残ればあそこの会社のサイトはダメだ、だから製品(サービス等も)もダメだろう、という批評に繋がっていきますので、一般的にも良い影響があるとは思えません。
そういうことを詳しく書いているのが「こころweb」というサイトです。 視覚障害者だけでなく、一般的にも大切なことが書かれてますので、晴眼者も一度見てみると良いと思います。
実際、そういう画像をふんだんに使ったサイトがあまりも多いので、視覚障害がある方に対してwebサイトの閲覧というのはあまりお勧めできないかなあ、という危惧がありました。有名な「Yahoo!JAPAN」のサイトなどでも、テキストの量が多いように見えますが、小さなアイコンなど、結構画像を使用しています。それらをいちいち読み上げているのを聞いているとうんざりするくらいです(^-^;(ちなみに、リンクの部分と通常のテキスト部分では音声が違う音色になっているので把握できます)
また、デザイン的に見やすいようにtableという一枚のページを幾つかに分割する作り方をしているので、そうすると読み上げソフトは、まず一つ目のテーブルである左サイドだけをずらっとページ最下部まで読んでいって、又中央のテーブルの上段に戻って読み上げる、という風にするのですが、目の見える人間はテーブルの存在など気にせず、目に入る部分を横位置に読んでいって(見ていって)ページをスクロールしてページの下の部分を読む、という風にします。
その方が自然で、ページ(サイト)の流れや伝えたい情報もスムーズに見る事が出来ます。
ということは、デザインそのものも目に見える方対象に考えられている、ということでしょうか。確かに、テキストだけのページというのは見た目はつまらないし、カッコ悪い、という風に取られるかも知れませんが、しかし作り方次第ではテキストだけでも素敵なサイトは作れますし、情報も余計なことは含まず表現したいことだけを訴えることがでいるので、その方が効果的なこともあります。
又、同じデザインを構築するならテーブルではなく、CSSで記述した方が、体裁(デザイン)を整えながらテキストデデータを活かせるので良いと思います。
今後、サイト運営に関わる方は是非その辺を考慮して作成していただければと思います。(試しに、自分のサイトが目の見えない方にどういう風に受取られるかということを知りたかったら、一度「画像の表示を行わない」設定で見てみると良いかも。愕然とすることがあります)
そのように、検索サイトですら使いづらい現状で、さてどういう風に視覚障害のある方にインターネットというものを楽しんでもらうか、と考えたのですが、やはり文章を読む、ということを重点的に考えた時、沢山の書籍をただで読むことのできる「青空文庫」というサイトの紹介や、ニュースサイトの紹介が適切ではないかと思いました。
あくまでも、文章内容に重点を置いたサイトですね。
しかし、そういう真面目一方のサイトでは嫌だと思われる方も中にはいらしゃるでしょう。 そういう場合、オンラインゲームなどでも楽しめるものがあることを発見しました。
例えば、将棋や囲碁などです。
何かが動き回るゲームですと無理ですが、落ちついて交互で行うゲームだと大丈夫なようです。オンラインではなく、パッケージ(販売されている商品)になっているゲームもありますので、それらを買い求めるのも良いことだと思います。あとトランプなどもそうですね。
わざわざ買わなくても、WINDOWSのOSに元々付属しているものもありますので、それらから馴染んでいくのも良い方法だと思いました。
視覚障害のある方の記憶力とか勘というのは驚くほど優れているので、例え目が見えなくても一度勘をつかめばそういうゲームはお手のもののようです。
残念ながらwebサイトの講習は深く掘り下げられないままそのクラスは終了してしまいました。(計20回)できれば音楽や携帯の着メロの配信サイトの利用の仕方、メールマガジンの購読の仕方なども取り入れたいところでした。
また、家にいながらにして世界中のあらゆる情報、自分が欲しいと欲している情報がいくらでも手に入る(聞くことができる)ということをもっと理解していただくための講議も行いたかったのですが出来ませんでした。
取りあえず基本的なブラウズの仕方、検索の仕方などを講習しましたが、まだまだ教え足りないものがあります。
生徒さんの方でも、まだ自分の力では完璧にパソコン操作は出来ないと思った方が多かったらしく、またまだ自宅には無いけれどもパソコンに触れていたいと思った方もいらしたようで、その後クラスとしては解散しましたが、ご自分たちでサークルを作り、地域のボランティアグループのメンバーと一緒にその施設で毎週集ってパソコン操作の練習をしています。
私も時々顔を出ささせています。
今後は、WORDやEXCELなど、Office系のソフトの習得にお力添えが出来ればと思っています。できますよー目の見えない方でも。
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