« ブログ移行してきました。 | トップページ | 過去ログ2:視覚障害クラスその1〜5 »

2007年6月 7日 (木)

過去ログその1:2005年1月〜3月

livedoorさんの方は閉鎖して来たので、以前にlivedoorの方に掲載していた記事を再掲載します。
時系列は前後しますが、カテゴリ別に分けてみました。

基本的にその時の文章そのままを掲載しますが、多少の校正はしました。
そのために改めて読み直してみると、まだ2年ほど前のことだというのに、書いたことを結構忘れていたり、自分でも意外に思う文を書いていたりします。
客観的に、「そうかー自分ってこういう考え方をしていたんだー」と感心したりしました(笑)

まずは概要的な記事から。

--身障者対象のパソコンインストラクターという仕事を始めることになった時のこと--

『その1』2005/01/26 記

私は、身障者対象のパソコンインストラクターの仕事を請け負いで行っています。(障害者という表現は好きじゃないのでこちらでは身障者とします)
少し特殊な仕事かも知れません。
しかし一切、資格などは持っていません。インストの資格も、介護士や教師の資格も何もありませんが、何とかやってこれました。
その仕事を通して考えたこと、経験したこと、教室で起こった出来事などを記していこうと思います。

身障者対象の仕事というと、皆さんボランティアでは?と思われるようですが、純粋に時間給で報酬をいただき、”仕事”としてやっています。儲かるか、と聞かれたら正直儲かりません(笑)
それは現在、お役所関係の教室で教えているため、一般の派遣業のように高収入は望めないからです。かといって、ボランティアではありません。身障者である生徒さんからは(今のところ)授業料は頂かず、税金で私たちは給料をいただいています。

ボランティアでやられている方もいらっしゃるかも知れませんが、私は”仕事”として報酬を頂いてやる方が講師生徒双方に取ってけじめがついて良いと思っています。(ボランティアの方がいい加減にやっているということではありません。念のため)
生徒さんの中にも、ただで教えてもらうことは却って甘えが出てくるから少しでも授業料を支払いたい、とおっしゃる方もいらっしゃいます。その方がもっと真剣に取り組めるのではないかとおっしゃいます。それを聞いた時、偉いな〜と思いました。
(私だったらタダでラッキー、とか思います。笑)

身障者の方々は障害者年金を受取っていて、無料で色々なサービスが受けられたりします。それは私たちの税金から出ています。それを身障者の方たちは当然とは思っていません。
心苦しく思われている方の方が多いような気がします(気がするというのは、具体的にそういう踏み込んだ話をしたことがないので、私の受ける感覚だけなのですが)。

もちろん年金だけではなく、身障者の方でもその方なりにできる仕事があって、それで報酬をいただいていてその中から自分が使う分のお金、例えばパソコンスクールの授業代などは自分で出したい、としっかりと考えていらっしゃる方が多いのです。それは、社会を構成している一員としての当然の自負だと思うのです。
それに報いるためには、こちら側もきちんと報酬を頂くことが却って礼儀では無いかと思い、私はあえてボランティアは選ばず仕事として身障者に接する仕事を請け負いたい、と思っています。もちろん、法外な報酬を要求するつもりもありません。

次回より仕事のきっかけと、始まってからの状況を少しずつ書いていきたいと思います。 もちろん現在進行形で教室も運営してますので、その模様なども。一般の健常者対象のインストラクターとは若干異なる部分もあるかも知れません。いや、そういうことの方が多いかも。
しかし、健常者のインストにも通じることも多いと思うので、全てのインストラクター、また身障者の方のために少しでもためになることがあれば幸いです。

140d23b8


『その2』DATE: 2005/01/27/ 記

さて、インストラクターの仕事はもちろん、身障者の方に対するボランティアなどの仕事を一切したことのない私にそれまでつき合いのあった会社の方からいきなりそのお話があった時には、正直びっくりしました。私なんかに出来るのか??と思いましたし、大変難しいんじゃないかと思い、非情に躊躇しました。

まして、最初の講習対象は視覚障害者の生徒さんだというのです。
私は、それまでDTPやイラストなどのグラフィック系の仕事をしていました。(いや今もしたいのですが)つまり、視覚に訴える仕事をしていたのです。それが、いきなり目の見えない方、その「訴え」が効かない方を相手にしなければならないとは。
自分が何故そういう仕事をしていたのかというと、しゃべることが苦手だったからです。
漫画もイラストもそうですが、グラフィック関係の仕事は言葉も大切ですが、絵というのは言葉以上に見る人の心や脳細胞に訴えかける力を持っているのですね。それを駆使して仕事をしようとすると、どうしても言葉は二の次になります。

グラフィックの仕事は、文字も含めてビジュアルで見る人の感覚に訴える訳ですが、その感覚は五感でいう「視覚」ですね。それが、見えない方相手となると、その感覚が通用しない訳です。はて、自分が得意としていた(一流かどうかは疑問ですが)その感覚を使わずに仕事やコミニュケーションを上手くできるのか。非情に不安でした。

また、それまでてきとーに絵やビジュアルでごまかしていたり(?)、あいまいな相づち、顔の表情などでコミュニケーションを取れていたものが、一切通用しない訳です。その変わり、全ての表現を言葉でしなくてはなりません。
自慢じゃありませんが、私は言葉遣が悪いです(笑)悪いというか、言葉の使い方を知らないというか。子供の頃は内気で、家で一日漫画を描いて過ごしているような少女でした。
幼少期の習慣というのは恐ろしいもので、その時代に言葉でコミュニケ−ションを取る訓練をしないと、大人になってひじょーに苦労します。(今子育てをしている親御さん、これは重要なことです)
まして、私は田舎の方で育って成人真際に上京してきたので、標準語のイントネーションなどにも自信がありません。つまり、言葉に対して非情にコンプレックスを持っているのです。

そんな自分が、言葉だけしか使えない授業が出来るのか、コミュニケーションが取れるのか、ものすごく不安で、その担当の方に相談したのですが、とにかく視覚障害者の方たちが喜んでくれるから、という言葉で引き受けることを決めました。

決心したは良いのですが、さていざ仕事を始める前に、そのパソコン教室のマシンはwindowsマシンとのこと。私はずっとMac使いでした(グラフィック系の仕事は大体そうですね)。
今も自宅パソコンはMacです。 それまで、まあ自宅にも一応winマシンはありますし、出向先でも時々windowsマシンを使っての仕事などを行ってましたが、取りあえず使える、という程度でとても苦手だったんですね。今も苦手です(苦笑)どうも慣れていないせいか、インターフェイスなどがwinは馴染めなくて。

ただ、macはグラフィックに特化しているせいで、目の見えない方対象には作られていません。その点、windowsマシンは、音声の読み上げ装置などが使えるようになっています。特にIBMなどは早くから視覚障害者に対するケアがしっかりしていて、それはどのパソコン使用者に対してもいえるのですが、サイトのアクセシビリティの提案を強くやっています。

とにかく、それまで全くwinマシンに慣れていないのに、いきなり教える側に回る訳です。こっちが教えて欲しいくらいなのに、というのが正直なところでした。しかしそうもいっていられないので、取りあえず初心者用のwindows入門の書籍を借りて勉強するところから始まりました。全くー、パソコン(その時点で)8年使用してきて、今さらwinマシンの基本から勉強かよ、と思いましたが、とにかく何かトラブルがあった時、又生徒さんに突飛な質問をされた時(私自身の経験でもそうですが、素人はとんでもない質問をしたりするのです)、基本的な設定や操作などは把握していないといざという時に困ると思い、眠くなるのを耐えて読みました。

windowsのOSそのものもそうですが、とにかく自分自身はマイクロソフトの製品はほとんど使っていず、何とかIE は使うものの、メーラー(メールソフト)はユードラだし、これまでとんとマイクロソフトの製品に対しても興味がなかったせいで、windowsの初心者対象の書籍は全部IEからOEからOSから、マイクロソフト製品の使い方の説明だったので、うんざりしながらこれも仕事のためだ〜、と思い我慢してました。
‥実際は、視覚障害者に対してはビルゲイツ君は親切ではないようで、マイクロソフトさんのブラウザもメーラーも視覚障害者には適していなくて、結局他社の製品を使うことになるので、その時点ではそれほどIEやOEの操作などは詳しく覚えることはなかったのですが。

では、どういうソフトを導入して視覚障害者に講議を行ったかというと、音声読み上げ機能付きのタイピングソフトを使用しました。
目が見えない方がどうやってパソコンを操作するの?という疑問を持たれる方が多いのですが、パソコンから音を出させる、つまり読み上げをさせるんですね。普通の文字ファイルなら全て問題なく読み上げます。(尤も電子音声ですので聞き取りづらいんですが)

また、パソコンの状態、例えばカーソルが移動するとそのポイントを読み上げてくれます。ファイルやフォルダの上にカーソルが乗っていればそのアイコンの名前を読み上げるし、ファイルを開くと何のソフトの何というファイルか、タイトルを読み上げてくれます。メニューの上に移動したらそのメニューを読んでくれます。

ただし、マウスは使えないのでカーソル(ポインタ)の移動は全てキー操作で行わなければなりません。普通の方は意識していないと思いますが、パソコンの全ての操作は、ドラッグ操作を除いてほとんどキー操作で出来るんですね。(昔のコンピューターには、マウスなど付いていなかったことを考えれば納得できると思います)
ドラッグも同時選択という形で行うことが出来ます。純粋に、マウスを持ってのドラッグが出来ない、というだけで。

そのキー操作を行うためにはどうしてもキーボードのキーの位置を完璧に覚えなければいけません。逆にいうと、そのキーの位置を覚えてしまえば、またキー操作を覚えてしまえば目の見える人とほとんど同じようにパソコンを使いこなせる、ということです。
ただパソコンは使えますが、扱えないファイルはどうしても出て来ます。写真や画像、図形などのデータは残念ながら扱えません。
ただ読むだけなら、読み上げ装置が、ここに画像データがありますよ、とか図形のデータがありますよ、と教えてくれます。ここで大事になってくるのが、先述したIBMが推奨しているサイトのアクセシビリティですね。画像ファイルにはaltタグで画像の説明を入れてよ、という。まあこの辺りのお話は後日。

さてそのキーボードですが、これまたmac用とwin用では若干違う。ましてや私の使っているオールドmacはAPPLE専用のキーボードで、今では貴重なタイプです。今は秋葉原あたりに行かないと手に入らないような。そのため、私自身もキーボードの操作を覚える必要が出て来ました。
先に書いた、視覚障害用のタッチタイピングの練習ソフトの操作とともに、自宅でwinマシンを使い練習を行うことになりました。そうやって教室の始まる前に、何とか付け焼き刃ですが苦労してwindowsマシンの操作を覚えることから始まりました。キーボードで一番とまどったのは、バックスペースというキーでした。macにはありません(^-^;


7fb8a24e


--『このブログを立ち上げた訳』 2005/03/01 記---

私がこのブログを立ち上げようと思ったのは、インストラクター自身がその仕事に関する『思い』を書いているサイトがないので、自分が書いてみようと思ったからです。

一般のパソコンスクールの募集目的や、宣伝目的でその講座のサイトを公開したりメルマガなどで授業内容を公開しているものはあります。が、身障者対象となると、お役所などの公的機関でのパソコン教室の案内や、またはボランティアグループ、企業などの身障者に対するパソコンの指導に関することや機材の説明などを行っているサイトは多くあるのですが、インストラクター自身がその講座について書いているブログやサイトは無いのです。
(少なくとも私は探せなかった)

それはプライバシーの問題などもあり、非情に難しいものがあるからだと思います。
しかし、私は、きっとパソコンを使用していてもそういうパソコンスクールに通えない身障者の方がいらっしゃるのではないかと思いました。自己流で独学でパソコンの習得をしながらも、そういう、パソコンスクールの授業を受けたい、と考える方がいらっしゃるのではないかと考え、少しでもその片鱗が理解していただければ幸いかなと思いました。(尤も、その前に身障者の方はパソコン自体お持ちじゃ無い方が多いので、そういうパソコンスクールの募集すら知らないのが実情だと思いますが)

また、健常者に対しては中々身障者の世界を知らず、しかし何とか知りたい、と考えている方もいらっしゃるのではないかと考えました。
ただ、どうしていいのか判らない、と思う方が多いのだと思います。
いざ身障者に対するボランティアというと身構えてしまったり、逆にバカにしてしまってその機会を逸してしまっているのだと思います。

その双方に対して、身障者対象のパソコンスクールはこういものだよ、こういことをしているんだよ、ということを知って欲しかったのです。幸い、私はスクールを主催している施設の方の理解に恵まれてこのブログを公開することができました。が、もちろん、全ての身障者対象パソコン教室の状況がこうである、という訳では無く、又、私自身身障者に対する扱い方の指導を受けたプロではありません(つまり介護福祉士などではりません)ので、専門家の方から見たら間違った対応や対処の仕方をしているかも知れませんし、至らないところも色々あると思います。

が、今の時点で私がいえることは決して身障者は特別なものではなく、身障者対象のパソコン教室は特別なものではない、ということです。ただ少し健常者より時間がかかったり、気をつけるポイントが少し変わっている(増える)、というだけのことです。それを頭に置いておけば、後は同じ人間どおし、誠意を以て接し話しをすればきっと大丈夫だと思います。

|

仕事」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22832/15348732

この記事へのトラックバック一覧です: 過去ログその1:2005年1月〜3月:

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)